未来のカタチ

ある1日

2020.06.30(Tue)

 

僕は奈良が好きで、年に数回遊びに行く。

初めて行く場所は、ワクワクよりちょっとドキドキの方が強い。

スマホじやないから、電車の乗り換えやバスのダイヤを

ちゃんと調べて出掛けるが、予定通りに進まないこともよくある。

行き慣れた場所の場合は、ワクワクが増し、

考えている時から、奈良独特の大陸の風のようなものを感じる。

 

同じ方から3度目の依頼が来た。

初めての依頼は7年前で、

お互いの価値感を確かめながら慎重に進めた。

2度目はその翌年で、

「こんなに暮らしが変わるのならここも直したい」

といった感じで頼んで頂いた。

 

そして今回お宅に伺うと

「ガンがあるってわかってなぁ・・

治療薬を投与された後、なんかきついめまいになったことがあって、

階段から落ちて骨折するんちゃうかって不安になって・・・

そやけどまだまだやりたいこともあるし・・

これからは、1階で寝て・」

素直に喜べない経緯で驚いたけど、

施主は笑い話のように話してくれて、どこか楽しそうだ。

 

どんな空間になるか

今は想像出来なくても

感覚的にわかっているのかもしれないなぁ

新しい暮らしが、より楽しくなることを

 

 

 

 

#佐野泰彦建築研究所