届けたいこの光を

story

2018.07.03(Tue)

 

昨年の7月に着工した現場があります。

竣工前の様子を眺めながら、

間取りや構成の大きな話からハンガーパイプの高さといった小さな話まで

今の形になった経緯を思い出していた時、

施主は結局、何を求めていたのだろうと今更ながら考えました。

 

それは、きれいにして快適な新生活を送りたいというのではなく、

より根源的な望みは、なんだったんだろう。

打ち合わせを重ね様々な質問に答えながら、

僕は何を届けたかったんだろうと。

 

2階へ上がろうとした時に、一筋の光が差し込んでいました。

新しく設けた天窓から。

 

それは、単に部屋をより均一に明るくする光ではなく、

閉塞した何か打ち破るような力強い光。

角度や強さを変えながら季節の変化を届けるだけではなく、

日々の暮らしの中で、生きる力を与えてくれそうな光。

時には、立ち止まって眺めさせるぐらい神聖な光。

 

そう、きっとこれを届けたかったんだ

 

より心豊かになる暮らしへ導く光を

輝かしい未来に向けて。

 

 

 

 

 

#佐野泰彦建築研究所