在るべき姿で
ある1日2019.03.26(Tue)
出来上がった離れの外観を
隣地のコインパーキングから眺めていると、
お施主様のお母様が来られて
「私、この感じ気にいっているよ。
窓の感じもなんかええし、塀もおうてると思うし・・」
しばらくの間、一緒に眺めていました。
明治後期に建てられた母屋の付属家として建てた離れ。
当時書かれた小説の続編を現代に書くような心持ちで取り組んでいました。
自身の余分な想いは一切消し、
ただ母屋との繋がりと現代に生きる施主の想いが
そこはかとなくにじみ出てくるようなかたちとして在るにはと問い続け、
施主との会話に沿って、
粘土の塊をヘラでそぎ落としていくように創りました。
個性的な今風の感じでもないし、
当時の町家の意匠そのままでもなく
特徴らしきものはないけれど
もともとここに在ったような佇まいに
これでよかったんだろうと思いました。