火袋(ヒブクロ)のあるキッチン

古民家リノベーション

2024.08.01(Thu)

大正の頃から、台所と居間の間に壁が建ち
代々の奥様は、廊下をぐるっと廻って、居間に食事を届けていた。
嫁いでこられた若奥様も同じように家事を長年行っていた。

 

改修計画の時に、若奥様は、
「家族の顔を見て調理したい」とおっしゃられ、
火袋(台所の吹き抜け)はそのままに、
台所と居間の間の間仕切りを取り払い
自分好みのキッチンになった。

 

「わたしも嫁いできた時、不便やなぁと思っていたけど
そういうの言える雰囲気じゃなかったんよ。昔はね。
わたしもこれでいいと思うよ。家族の顔が見えるって、今風やん!」

お姑さまは、長年の自身の思いが形になったようで、控えめに喜んでいた。

 

 

 

京町家の火袋(台所の吹き抜け)をそのまま活かしたのは
高窓から届く朝日や季節感を大切にしたかったから。

 

火袋は、台所の熱気や夏の暑い空気を上方へ排気して
家を涼しく保つ役割も担っています。
冬も暖かい空気は上昇してしまうので、床暖がおすすめです!

 

 


▲以前の火袋・台所

 

中学生のお子様は、将来どうするだろう。

壁の色やシステムキッチンは変われども
火袋のあるキッチンをそのまま受け継いで頂けたらと願います。

 

 

 

佐野泰彦建築研究所
HP    https://yasuhiko-sano.com/
インスタ  @yasuhiko_sano
*ご相談は、ホームページで受付けています!

 

故(ふる)きを温(たず)ねて