長い目で見ると・・・(1)

現場から

2015.11.10(Tue)

住宅に係る仕事をしていると、思わぬ事態に遭遇する事があります。


ある時、現場に行くと、お願いした品番と異なる品番のクロスを
壁に張られていました。


いらっしゃったお施主様からは
「気に入って選んだクロスではないけれど・・・色も近いし、
やり替えるとなると工期も余分にかかるし・・・
間違えて張られた業者さんからは、張り替えると
下地が悪くなるかもしれないとも言われたんです。
この際、我慢して、その分値引き頂くお話を頂いているんですけど
それでこの場をおさめるかどうか、どうしたらいいですか?」
と相談されました。
僕の心の中では・・・
現場監督さんも打ち合わせに出ていて、サンプルも持って帰ったのに、
なんで???
といった怒りや疑問、様々な感情や想いが湧き出てきましたが、
どうしようもありません。
そこで少し、その場で考えました。
お施主様の心は、どうするのが一番すっきりするのだろう?



その時、僕が出した答えは、クロスを張り替えて頂く事でした。
確かにお選びになられたクロスと近い色でしたが、どこか印象が違います。


その微妙な違和感をサービスや工期といった理由で
一瞬抑える事はできたとしても、
数年後、やっぱり前の色の方が良かったと思われると確信したからです。


施工者には意向を説明して、張り替えて頂いたところ・・・


「やっぱり、あの時、諦めなくて良かった!


父からは、値引きしてもらったらいいやん
って言われていたんですけど・・・
でもやっぱりこれで良かった!!」とおっしゃられていました。



壁の微妙ななグレー感は、お施主様の大切なこだわり!