ゴールが同じなら(前編)
現場から2015.12.22(Tue)
昭和初期に建てられた京町家を復原する現場での話です。
アルミサッシを木製の窓に付け替えた時、
木製建具や雨戸の戸袋の出来を美しいなぁと眺めていました。
当初の計画では、黒く汚れた柱等の色に合わせて着色したい
とお施主様よりお聞きしていましたが、
これに着色するのか・・・という何とも言えない違和感が芽生えました。
そこでお施主様をお呼びして、ご覧頂くと
「たしかに杢目が綺麗ですね。
うーん、そしたら、戸袋と建具は着色せずに、
格子と鴨居・敷居だけ着色しようかな」とおっしゃられたので、
外からもご覧頂くと、
「敷居と鴨居、格子だけ塗るのも・・・ちょっとあれですね・・・
いっそ新しくした部分を全て白木のままでもいいのかな?
ふつうはどうされます?」とご質問されたので、
「ふつうというのはないんです。
外からご覧になられた時に、この部分は新しくされたんだなと
周囲の方に思われるのがイヤと思うか、
出来上がった時の完成度を重視して、当初より着色されるかですが、
最終的には好みだと思います」
と答えると
「いずれは同じように日焼けしたり、汚れたりするんだったら、
白木のままにしてそれまでの時間を楽しもうかな!」
とおっしゃられました。
「でも失敗するのも怖いし、少しお時間を頂けませんか」
と言われたので、次回までの宿題にして現場を後にしました。(つづく)