復原するということは 遠い過去と近い未来を繋ぐこと (前編)

京町家リノベーション

2016.04.05(Tue)

京都市内の閑静な住宅地で改装しました。
お施主様は90代の男性の方で、
「もし地震があった時、自分の家が倒壊して近所に迷惑をかけたくないし、
今の間に直しておきたい」とのことでした。
建物は、昭和初期に建てられた京町家で、
当時「市中の隠居」として流行した意匠構成を保持しながら、
現代生活に合わせながら、大切にお住まいになられていました。
お施主様の年齢とお父様の想いを共有してほしいと考え、
息子様を交えて打ち合せを重ねました。
具体的な調査や打ち合せを重ねると、
家に関する由緒や上品な室礼等、建物の持つ良さがどんどん明らかになり、
「現在の計算方法で、耐力壁を増設し、
耐震性を上げてお施主様の要望を満たす事はできても、
建物の持つ情緒や歴史性を損なう恐れもあり、
果たしてどういう改修がこの建物にふさわしいのか?
どのような形で次世代にバトンタッチをするのが良いのか?」
という疑問が湧きました。(つづく)

 

 

 

#佐野泰彦建築研究所