終の住処

狭小住宅

2013.01.15(Tue)

 

路地奥に建つ3.5M×5.5Mの平家建京町家をリノベーションしました。

水廻りは台所のみで、便所は共同トイレ、浴室は銭湯に通い、

ご家族5名で仲睦まじくお住まいになられていました。

数年前より、広さと水廻りの不便さから近隣の借家住まいを始められ、

ご相談いただいた時は空き家となっていました。

お施主様は2階建てにすることを希望されていましたので

行政と現地で協議も行いましたが、

現行法では建て替える夢は叶わず、

リノベーションを検討する事となりました。

 

6坪平家という限られた広さをいかに活かし、心豊かな暮らしを届けられるか

しかしながら、現在借りられているお家と比べると、床面積は半分以下になり、

お施主様にとって、この計画をすすめることが本当に幸せに繋がるのか

2つの思いを自身に問い続け間ながら、検討しました。

 

打ち合わせの時に

「今より狭くなる、せまくなるっていうけど、布団1枚も引けないの?」

お母様がお施主の息子様に訊くと

「布団ぐらいそらぁひけるよ。そやけどなぁ・・」

「それやったらやってほしい。結婚してあの家に住んで、

あんたら育てて、やっぱり最後はあの家がいい。」

この一言で、お施主様や私の気持ちが固まりました。

 

お母様の将来の介護を考慮し、便所・洗面・浴室は少し広めのスペースを確保し、

たべること・仏壇にお祈りすること・家族集まること・寝ることのみに焦点をあて、

よりこころ豊かにすごせるような1つの空間を計画しました。

 

「終の住処」それは この場所で住みぬくという決意のあらわれ

今日も家から明るい笑い声が聞こえてきます。