ハイジの丸窓のある家

はじめての家づくり

2013.05.21(Tue)

北区にある閑静な住宅街で併用住宅の新築を計画しました。

お施主様は40代のご夫婦と小学生のお嬢様と園児の息子様です。

ご主人様の新天地での開業、息子様の入学、お嬢様の転校

ご家族それぞれの転機が重なっていました。

 

知人を通じてお知り合いになり、

初めてお話を伺いにご自宅へ寄らせて頂いた時

ご主人様はお疲れの様子で、今までの経緯をお聞きすると

「いい土地だと思ってすぐ購入を決めたんです。

 家づくりもトントン拍子に進むと思っていたんですけど

 なんか全然いい案が出てこなくって・・・

 違う設計士さんの話も聞きに行ったんですけど、ぴんとこなくって・・・

 家づくりはむずかしいです・・・

 もしかしたら失敗したのかと不安にもなるし・・・」

胸の内を明かされました。

 

「敷地の購入を決められた当時のワクワク感と同じくらいか

それ以上にいえづくりは楽しいものだということを

ご理解いただく必要がある」と感じましたので

出来る出来ないを勝手に判断するのではなく

とにかく本当に叶えたいことをお聞きする事から始めました。

 

1階で開業される鍼灸院へのこだわり、

新しい場所で過ごしたい家族の時間や

ご趣味やご家族の普段の暮らしについて

ご自宅に週1階訪問し、生活状況を確認しながら計画を進め

ご主人様の家づくりへの情熱の炎も少しずつメラメラと燃えはじめました。

 

1階に鍼灸院、3階にLDKとご提案した時は

「斬新すぎてちょっと・・・年いったらどうするの?」戸惑われましたが

打ち合わせを重ねるうちに

最上階でしか味わえない喜びや鍼灸院への生活音を気にしなくて生活できる点など

賛同いただけるようになりました。

 

数か月後、ようやくご家族にとっての理想の形が見えてきましたが

なぜか何かが足りない気がします。

ロフトに丸窓をつけることを提案していた時に

小学校から帰ってこられたお嬢様がその案を見て

「すごい、ハイジの丸窓がついてる!わたし、ここで寝てみたい!!」

おっしゃられた瞬間、ご家族にふさわしい家になっていると確信し

着工の準備を進めました。

 

一つひとつの思いが集まって「1本の線」となり

さまざまな線が「家族のカタチ」を構成し「自分達らしい家」となります。

 

エピローグ

念入りな打ち合わせの結果、息子様は入学されても現場はつづき

学校が終わると毎日お姉さんと一緒に現場に来られました。

お母さんが迎えに来られるまで、現場で宿題をしたり、探検している幼い二人を

ただ見守っていたその頃を懐かしく思いだすこともあります。