ハシリ（後編）

 
　
　それからの現場は、予定よりスムーズに進み、完成しました。
　毎日、ここに立つ際、機嫌のいい時にピアノの鍵盤を2つ3つたたくような
ちょっと心が弾む気持ちで、これからもご家族のために元気に食事を作って頂けたらと願い
天端やさりげなく目に入る側面に細長いタイル4色を1組に割り付け、
決めた順番で、張って頂きました。完成後の職人さんは、達成感に満ち溢れ、
「メンテナンスをする際の予備のタイルも用意しているので、これから10年、20年は
大丈夫だ。」とおっしゃられていました。
　いつの日か、このハシリに立つ人も世代交代をすることでしょう。
家族の変化を見守る温かい眼差しで、このハシリが見続けてくれると思うと、
今回、タイルを張りかえる選択をして、本当によかったなぁと思いました。
　一人一人の想いが繋がった時、唯一無二のモノが、生まれます。
　今宵は、クリスマスイブ☆
　あなたは、どんな想いを繋げますか？