暮らしに潤いを (番外編)
自然素材の家2014.05.06(Tue)
解体初日の事でした。
昼過ぎに現場に伺うと、大工さんから「大変なことになっています。」と開口一番告げられる。
見ると、北側壁面の端から端までシロアリの被害を受けており、
外壁の下地まで、きれいに食べ尽くされていました。
素人目にも前回のずさんな工事が原因で漏水し、蟻害にあったのは一目瞭然で
「近所の人やから頼んだのに、こんな仕事ぶりだったとは・・・信じた自分が情けない・・・」
お施主様は何度もおっしゃられ、非常に落胆されていました。
その様子から「どうしたら、再び楽しく家づくりに取り組んで頂けるのか?」
という疑問が僕の頭に浮かび、ちょうど他の仕事のキリもついたので、
毎日現場を見ながら、工事内容の説明やご趣味のお話をお聞きしながら
共に見守ることにしました。
計画の段階では、なんとなくイメージできても
「どうしてこんなに工期がかかるの」といった素朴な疑問も
毎日ご覧いただくと、職人の心遣いまで理解できるようになり
いつの間にか、完成を楽しみにされるようになりました。
工事は順調に進み、お引き渡しの別れ際、お施主様に握手を求められました。
「あれだけ現場に来ていたら、手間があわなかったやろう。本当にありがとう。」
といってギュッと力強く握られた時、
「これでよかったんだなぁ」と安堵しました。
しかし、家づくりに終わりは、ありません。
お施主様が年を重ねるように、空間も日々少しずつ変化します。
その様子を末永く見守っていけたらと思います。
木のトンネル