思いの行方(後編)
ある1日2017.04.25(Tue)
(前回の続きです)
翌日、施主が気にされていた両社の部品の保管期間などを
メールでお伝えする際、素直にお聞きしました。
お気持ちがすっきりされていないようなので、
着工を延ばしてみては、いかがですか?
すると
A社のウオシュレットを袖付きタイプ(便座の横にリモコンが付いているタイプ)に
変えたらおいくらぐらいになりますか?
と返答がありました。
それは、A社のものなら意匠・仕様を落としても・・・ということなのでしょう。
そこまでA社のことが好きだったんだと気づかされると同時に
自分の心に引っかかっていた正体もわかりました。
金額と共にウオシュレットの幅も変わります。
便器の据え付け位置や便器横に設ける棚の奥行等も再検討したいので、
一旦、着工を延ばしたいとお伝えしました。
後日、お電話で、
「今以上にお金をかけることは出来ないので
B社と同じぐらいにならないなら、今すぐ諦めます。
せっかく予定してくれている業者さんにも悪いし・・・」
頭の中で計算すると、
おそらくB社の方が安くなる可能性が高いことはわかりましたが、
せっかく勇気を出して伝えてくれた思いを
今この場で、無理ですとは言えませんでした。
「ゴールは見えましたから、ここから、もうひと踏ん張りですね。
なんとか叶える方向で関係者と打ち合わせをしますので、工事の着工だけ、延ばしましょう」
数日後、
胸の奥に仕舞われていた大切な思いをもとに
より澄みきった心持ちで、着工することになりました。
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