待ち人来(きた)る(前編)

ある1日

2018.02.20(Tue)

 

今から4年ほど前、

ある家と出会いました。

 

昭和初期に建てられた平屋建で、

当時、町内にお医者様がいないことを危惧されて

所有者様のお父様が建てられたそうです。

数十年にわたり医院兼住居として使われた後は、

貸家として長年活躍していました。

 

「最後におばあさんが一人で住まわれていたんですけど、

体調をこわされたのでね、

息子さん夫婦のところに行くことになって・・・

それからは空き家なんです。

建て替えて再び貸家として使う案を

不動産屋さんから提案されているんですけど・・・

どう思います・・・」

と所有者様からお聞きしましたが、

 

「建てられた当時のお話や

中廊下や独特の屋根の掛け方等

代和風住宅の特徴もあるので、壊すのはもったいないです。

何よりこの家は、まだいけると言っています。」

 

それからは、

別件でお会いするたびに

聞かれるたびに

念仏のように

その家の良いところをご説明しました。(つづく)

 

 

 

 

#佐野泰彦建築研究所