待ち人来(きた)る(後編)
ある1日2018.02.27(Tue)
(前回の続きです)
それから数か月後、所有者様にお会いすると
「あの家を直して貸すことにしたんです。
工務店さんからこんな案を頂いたんですけど、
前とはガラッとかわって、どう思います?
これしかできないって言われたんですけど・・・」
と相談されました。
間取りからは、広いLDKを取りたいという気持ちは伝わってきましたが、
家の特徴である中廊下はなくなり、なぜか便所が家の中心にあります。
これでは、何のために残すのかわかりません。
そこで、もともとの特徴を残しながら、
脱衣所がなく、お風呂も狭い等
現代生活において使い勝手の悪そうな水廻り部分の配置を変える案を
その場でお伝えすると
「こういうことも出来るんですかぁ。こっちのほうが、いいわ。
お便所も家の真ん中じゃないし・・」
後日、内容を整理してお渡ししました。
その案をもとに見積され、着工することが決まりました。
ちょうどその頃、その案を気に入った若夫婦が住みたいと申し出てくれましたが、
残念ながら入居希望時期と完成時期が折り合いません。
竣工後、他府県の方で住みたいとおっしゃって頂きましたが、契約前に破談となりました。
これは、どういうことかなぁ
いい流れできているはずなのに・・
今までの経緯を振り返りながら
状況を静観していると・・・
節分を過ぎたある日、所有者様とお会いすると、
「実は、入居してくれる方が決まったんです!
5前まで住まわれた方の体調が回復されて、
息子さん夫婦と一緒に住みたいと言ってくれたんです!!」
お聞きした時に、そういうことだったのかと腑に落ちました。
家は、あの人の帰りを
ずーっと待っていたんだ、きっと