太陽と月と(後編)

はじめての家づくり

2018.04.24(Tue)

 

 (前回のつづきです)

洗濯機の行き先に合わせてキッチンの位置も検討している時に

「今ある造りつけの食器棚がなかったら、部屋が広く感じると思いません・・・?」

「新しいキッチンの前の窓は、ばっと大きく開いたら気持ちいかな?」

ご夫婦からそのようなご意見をお聞きしました。

冬の寒さを和らげたいと同時に、

開放感のようなものを求められていることに気づきました。

 

そこで、冬の寒さを和らげること、洗濯機を屋内に設置する事、

そしてより開放的な空間で四季の移ろいを感じながら心地よく暮らしていただくには

その3点をを検討しました。

 

冬の寒さを和らげるのに、床下に断熱材を充填したり、

足触りのいい針葉樹の無垢のフローリングを敷くことにしました。

 

しかし、それだけでは、十分とは言えません。

日中の冬の寒さを和らげるのに、太陽の光を部屋にどう招き入れるか?

その検討は、春夏秋を心地よく暮らして頂くことにも繋がります。

 

南側には3階建が建っていて直射日光を入れるのは難しいかもしれませんが、

間接光を求めてより大きくより高い位置に、

キッチンの前は、冬の西日が部屋の奥まで届いてほしいと願いを込めて

3か所の窓のサイズと取り付け位置を変えました。

 

現場で窓の高さや取りついた感覚を確かめようとしますが、

足場のシートがあり、よくわからないなぁと思っていると、お施主様が来られて、

「あっ、このキッチンの窓、この位置やったらきっとお月さんが見えるんじゃない?

いつもは外に出ないと見えなかったけど。絶対、見えるって!!」

奥様がご主人におっしゃられていたのをお聞きした時に

これでよかったんだなと安堵しました。

 

太陽と月と共に暮らす新しい生活が、始まります!

 

 

after  

 

 

before

 

 

 

#佐野泰彦建築研究所