雨上がりの朝に
ある1日2018.06.05(Tue)
打ち合わせや現場で人とお話しする機会はありますが、
机の前で誰とも会わずに仕事をする日が続くこともあります。
落ち着いて静かに考える時間はむしろ好きな方なので苦にはなりませんが、
施主や出来上がる家と一人で対峙しているような錯覚に陥るときがあります。
打ち合わせで必要な床材のサンプルをいつもの業者さんに手配しました。
いつもなら、一週間ほどで届きますが、
カタログにも載せていない特殊なもので、打ち合わせ前日にも届きません。
先方に確認しても良かったのですが、
ご担当者の多忙さはよくわかっており、
あの方がここまでかかるのはよほどのことだろう。
今回の打ち合わせには間に合わなくても仕方ない。
お施主様もきっとわかってくれるだろうと割り切りました。
打ち合わせ当日、前日の激しい雨もやんだようで、
玄関を開けると、レバーハンドルに紙袋が下がっておりました。
えっ・・・?
中を確認すると、お願いしていた床材のサンプルと
特性や施工注意点などを書かれたお手紙も同封されていました。
あの激しい雨の夜に届けてくれていたことは、すぐにわかりました。
ご担当者の責任感の強さ、申し訳ない気持ち、ありがたい気持ち、
自分の中に様々な想いが次から次へと湧き、
やがて、どのような言葉でも足りない喜びとなりました。
それは、お施主様やこれから出来上がる家を思いやる
愛情のようなものを感じ取れたからでしょう。
一人じゃないんだな
自分が、自分がという気負いの世界から醒めた
雨上がりの朝に
紫陽花の季節ですね