おじいさんのソファ
京町家リノベーション2018.07.31(Tue)
お家の中をご主人様に案内頂きながら、
現在の住み方をお聞きしていた時に2階の縁側に差し掛かりました。
その時、うん・・・?
足裏から伝わってくる違和感を頼りに周囲を確認すると、
床が途中から折れるように傾いており、
元々の位置から45センチほど奥行きを足されていたことに気づきました。
「もともとの縁は、この辺りまでだったと思うんですけど?」お聞きすると
「そうなんです。おじいちゃんがこのソファを気に入ったと言って買ってきたら、
大きすぎて縁側に置けなくて。だからソファが入るように縁を延ばしたんです。」
「少し無理やりな感じなので、今回は元の位置に戻してもいいですか?」と尋ねると
「全然いいですよ。住んでても気づかなかったなぁ。
でも、このソファは、どこかで使いたいんですよ。まだまだ綺麗やし。
母や嫁には、古臭いから捨てろっていわれるんやけど。僕、けっこうおじいちゃん子で。
両親は共働きだったし、おじいちゃんにいろいろご飯とか連れて行ってもらったりもして・・・」
ご主人様の大切にしたいのは、
おじいさまとの思い出や勿体ないという気持ちだけではなさそうです。
なにもかも新しくなってしまって
これまでの軌跡が消えてなくなるような恐れも感じられていたのでしょう。
古きものを大切にしながら、新しきものをちょっと加えて、
今までとは違うこれからの暮らしへ舵をきりました。
「新しくなった家にマッチするんやったらいいけど・・・」
奥様にも渋々了解を頂きながら。