コシノヒロコさん旧邸

探訪

2019.01.29(Tue)

 

テレビや雑誌で紹介されるお家を見るときは

こういう家で過ごしたら、自分はいったいどんな人間になるだろうかと想像します。

 

コシノヒロコさん旧邸のKHギャラリー芦屋を見学しました。

安藤忠雄さんの設計で、1981年竣工、84年増築、

ギャラリーとして使うに当たり改築されていると思われますが、

建築当時や増築時の空間構成や意匠も残っています。

 

『住宅』(安藤忠雄著)の中で

「快適な生活からはどんなに離脱していたとしても、

安藤さんの建築空間はファッションデザイナーとしての私に必要なものでした。

冬には家の中でもスキーウエアで過ごさざるを得ない環境でしたが、

あの空間に身を置くことは、感性を研ぎ澄まし、デザインを生み出す活力でもあったのです。」

コシノヒロコさんは、おっしゃられています。

 

写真で見た時よりも実際の空間は、

大きすぎず小さすぎず、親近感を覚えるスケール感でした。

包み込むような安心感と静寂さがここにはあり、

そこに本能を刺激するかのように空から一筋の光が差し込んできます。

 

安藤さんの建築は、

コンクリート打ち放しによる表現方法のみに注目されがちですが

多様化する現代社会においても

心の奥底で人が住まいに求め続ける根源のようなものがここにあり、

これこそが安藤建築の魅力なんだと実感しました。

 

こういう家に住んだら、自分はどういう人間になれるのだろうか

想像を楽しみながら、帰路につきました。

 

 

KH GALLERY:http://www.kh-gallery.com/

 

 

 

 

 

#佐野泰彦建築研究所