明治から令和 そしてこれから  後編

京町家リノベーション

2020.08.25(Tue)

 

(前回のつづきです)

 

建築当時のご家族の「この家で頑張って生きていこう!」と

現代のご家族の「これからもこの家で暮らしていく!」

それぞれの決意を改めて繋ぎ直すことで

自分達のルーツを肌で感じ

末永く愛着を感じながら使い続けて頂けるのではないかと考えました。

建築当時の柱や梁をあらわし、今回の工事による新しい柱と梁と共に

明治と令和が力を合わせて一つの空間を構成する事にしました。

 

解体が進むと改装で隠されていた柱や梁、

それまでの改装によるお仕事ぶりなど、明らかになりました。

古い建物になればなるほど、

現代のようにまっすぐ製材された柱ではなく、

丸太のような少し粗野な柱や梁を用いられます。

中には、以前どこかで使われていたものを再利用している場合も多々あります。

再利用かどうかは問題ではありません。

材料を大切に扱われていた当時の社会背景を垣間見ることができ、

むしろ好感を覚えます。

 

しかし、お嬢様のお部屋の柱に一段と歴史を感じました・・・

大工さんからも

「お嬢さんのお部屋にこれはちょっと・・・

この面だけでもクロス張りにするとか、隠されてはいかがですか。」と尋ねられ、

ご主人様とお嬢様に現場でご説明しました。

 

すると「なんか、かっこいいから、このままでいい!」とお嬢様は即答され、

余計なほぞ穴を埋木し、予定通り進めることにしました。

 

 

 

 

 

#佐野泰彦建築研究所