昼間の月

日々の暮らしの中で

2020.09.01(Tue)

 

桂川の堤防で中村軒のかき氷を食べた。

黒蜜に白玉が2つ、そこに餡子をトッピングしたものを。

二つのスプーンがテンポよく交互に入れ替わる。

餅つきの時のような阿吽の呼吸。

 

食べ終わって、ようやく一息ついた時

「別世界だったね。」と奥さんが一言ぽつりと。

 

13時から約1時間桂離宮を見学していた。

その場で営まれる行為、

招く客にどのような気分になってもらいたいか 

思考をめぐらし、50年の年月を経て竣工した

「月の桂」と呼ばれた桂離宮

 

広大な敷地の雅な空間と現実とのギャップは勿論あるけれど、

あの世界の延長線上に本当に今が在るのかとふと思い、

昼間の月をさがした。

 

帰り道、再び中村軒の前を通ったが、喫茶は満員のままだった。

 

 

 

 

 

 

#佐野泰彦建築研究所