求めていたものは 前編
セカンドライフ2020.10.06(Tue)
京都市北区の閑静な住宅地でリノベーションを行いました。
お施主様は60代前後のご夫婦と20代のお嬢様です。
ご主人様の定年退職を機に家づくりをお考えになられ、
リフォーム会社数社のご説明も聞かれたそうですが
「どうもなぁ・・・ここに任せていいものか
いえづくりってもっと簡単なものだと思っていたけど・・・
よくわからない・・・どうしたら・・・」
という気持ちが少しずつ大きくなった頃
以前お仕事をさせて頂いたお施主様通じてご紹介頂き
お話をお聞きするようになりました。
「冬の寒さも厳しいし、床もこんな感じできしんで、階段も急だし・・」
今まで我慢しながら使ってこられた家への一つ一つのご不満を
お聞きすることから家づくりは始まりました。
その結果、工事範囲は屋根と劣化していない躯体以外の大工事となりました。
将来を見据えて階段の勾配をより緩やかになるよう階段の位置も変え
南東の角に張り出した水廻り棟を解体、減築し、
お部屋への採光の確保や庭も整備します。
夢はどんどん膨らみますが、ご予算と見積には大きな隔たりがありました。
ある打ち合わせの時に
「家族でいろいろ話し合ったんですけど、
階段の位置を変えるから予算がかさむと思うんです。
階段は急でも今のままにしておけば、
もう少し予算を落せるんじゃないかと思うんですけど・・・」
ご主人様は、あらかじめ言おうと決めておられたことを
確かめるようにゆっくりお話しされ、
その横で奥様は、うんうんとうなずかれていました。
そして僕はただご主人様の目を見ながら、お話をお聞きしていました。(つづく)