過ぎたるは猶及ばざるが如し(前編)

京町家リノベーション

2020.12.14(Mon)

 

下京区の閑静な住宅地で京町家のリノベーションを行いました。

私が幼い頃よりお世話になっている方から

お母様を看取られたお部屋のご相談でした。

 

 

「北側で、なんかうっとおしいし・・・

いっそ畳もやめてフローリングにして、壁も天井もクロス貼って、

こう明るい感じでスカッとしたい」

と奥様はおっしゃられていました。

 

「介護や看病されていた頃の思い出を一掃したいのだろう」

と想像は出来ましたが、要望通りにすることは出来ません。

 

用途が決まっていないということもありますが、

本建物は大正後期か昭和初期に建てられたであろう京町家で

材料の質やサイズ感から当時の繁栄ぶりが容易に伺えます。

その京町家のミセに当るお部屋で、

伝統的な意匠として大和天井や出格子もある部屋です。

建築当時の主人の繁栄ぶりや思いを覆い隠すことは簡単ですが、

本当にそれでいいのかという疑問が僕の中から消えません。

 

打ち合わせを重ね、

将来ご主人様の寝室として使う旨もお聞きしましたが、

どうも私のこころがすっきりしません。

 

この部屋はどう在るべきなんだろうと検討を重ねました。(つづく)

 

 

 

 

#佐野泰彦建築研究所