Border Line (前編)

自分らしい暮らし

2021.08.12(Thu)

 

境界線上に建つ塀には防犯面向上に加えて

「ここまでは私たちの敷地」と

境界を明確に示す役割がありますが

逆にいうと

「これ以外は私たちの物ではない」と

きっぱり言っている気がします。

 

塀の持つ閉鎖性は、

家族のプライバシーを保つには役立ちますが

よほどの広さがない限り、

住人には少し窮屈で、

近隣の人は近寄りがたく感じます。

 

建物の外観や外構というものは、

ご家族が社会に示す一つの顔であり

ご近所付き合い等ご家族の社会性が

表れていることも多々あります。

 

道路から建物を眺めると

こういう気質のご家族かなぁ

となんとなく想像もできます。

 

新築住宅の外構計画で、

玄関や勝手口を隠すために

高さ2Mの塀を建てることになりました。

 

境界線はここまでと示す必要は特にありませんでしたので

角地の角あたりを起点に約2度敷地内に振り、

三角形の花壇を採りました。

そして、道沿いからは塀の閉鎖感を強調すべく

水平線のようにどこまでも続いていく印象を持たせられるよう

必要のない範囲まであえて塀を延ばしました。

 

しかしながら、

新天地で始まる新しい暮らしにおいて

閉鎖性をどこまで保てばいいのか

という思いが生まれました。

 

このままでは、

従来とおりの塀に囲まれた家が出来上がるだけで

好奇心旺盛で人付き合いの良いご家族の本当の人柄は感じられません。

 

(つづく)

 

 

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