且座喫茶(しゃざきっさ)

探訪

2021.09.16(Thu)

 

 

虎屋菓寮テラス席で

お抹茶と和菓子を頂いた。

 

小川のような水庭に

雨粒が落ちてはできる水紋を眺めながら。

 

洗練された空間だけど

どこかなつかしい雰囲気がして、

妙に落ち着く。

 

軒先の水平線で庭を切り取る構図

小川のような水庭

足元に置かれた蚊取り線香

 

幼い頃、夏になると帰省していた

祖母の家を少し思いだした。

 

テラスに面した庭の奥には

白壁の蔵がデンと構えているのがみえる。

店員さんにお聞きすると

江戸時代の頃に建てられたそう。

蛤御門の変の大火を潜り抜け、修繕し

当時の面影を残し、使用しているらしい。

 

その西隣りには稲荷社を祀り、参道に鳥居を3つほど建てられていた。

商家の奥庭でよく見かける風景で

小雨の中、ていねいに拭き掃除をしている方の姿は

昔から大切に祀られてきた様子が伝わってくる。

 

客人として通された奥座敷から庭を眺める気分になるテラス席

 

気配り上手な接客にお菓子の説明書きやメッセージ

そして上品な味

 

 

「あぁこれが虎屋なんだ」こころが強く動かされた。

一服のお茶、このひと時に

創業から現代にいたるまでの心尽くしをギュッと体感した気がして。

 

建物とそこで働く人々

代わるがわる訪れる私たち

秋虫は鳴き、夏の終わりを告げた。

 

 

 

虎屋菓寮 京都一条店

https://www.toraya-group.co.jp/toraya/shops/detail/?id=55

 

 

#佐野泰彦建築研究所

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