Second Base (中編)

セカンドライフ

2022.09.09(Fri)

 

(前回からのつづきです)

 

お施主様の強い覚悟を目の当たりにするところから

打ち合わせは始まりました。

 

手に入れたお家の気になる点や

こんな空間にしたいという要望をいくつも挙げて頂きましたが、

前所有者の暮らしぶりを見ると、

間口や広さの面で、できることが限られているのもわかります。

 

単なる内装をやり替えるだけで終わらないように、

そして、新しい距離感での暮らしが、

ご家族をより幸せな未来へ導いてくれることを

心に留めて検討しました。

 

現実的なお話をしながら、たたき台を作り、

その都度修正を加える対話重視の打ち合わせを重ねましたが、

なかなか自分の中で、ピンときません。

お施主様に「はやく、はやく~」と急かされながらも、

そのヒントがつかみたく、

「愛知県の方で気になる家具屋さんがある!」とお聞きしたら一緒に同行し、

時には南区にある輸入家具屋を巡ったり、

伏見区にある材木屋さんにも立ち寄りました。

日常のたわいもない会話やこういうのが好きといった

ご家族の断片的な好みに触れながら、

新しい拠点がどう在るべきかを自問し続けました。

 

打ち合わせを重ねながら、

ようやく見えてきたのは、

持ち家と異質な空間にすることです。

 

今のご自宅では味わえない静けさやゆとりを

この立地や建物の良さと繋げることで得られる非日常感こそが、

暮らしに豊かな変化を与え、

ご家族を幸せな未来へ導いてくれると考えました。

 

建物で気になる主要な点としては

・大屋根は、もともと陸屋根の計画であったであろうデッキプレートの上に

 木造の切妻屋根が掛けられていました。

 現在に至るまでに雨漏りがしたのか、

 元の屋根を覆うように片流れ屋根を掛けられていました。

 屋根と屋根の間には、人がかかんで移動できる空間があり、

 調査の時には少し水が溜まっていました。

 その空間の状態を確認にいけるように屋外梯子がありましたが、

 錆びていて、危険でした。

 

・浴室、洗面、便所、台所といった生活用の水廻りは、

 前述の「Second Base (序)」にてご紹介したように、

 階をまたいでばらばらに配置されていました。

 

・間口2.5Mのうち、幅約1Mほどは、

 1階から3階まで一直線に上がる階段が占めていて

窓もなく、閉鎖的な空間でした。

勾配も急で、鉄骨の階段を掛け替えてほしいと言われました。

 

・お施主様は「狭いところや暗いところが苦手」とおっしゃられていました。

 

以上です。

 

 

(つづく)

 

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