Second Base (後編)

セカンドライフ

2022.09.21(Wed)

 

(前回からのつづきです)

 

大屋根は、もともとの2重屋根を解体し、陸屋根に変えました。

そして3階ホールから出入りできる点検用のハッチを設けました。

居室を通らずとも屋上へ出入りすることが出来

屋上からの眺めや少人数で集まることも出来ます。

ハッチは硝子入りなので

ホール、階段へと光を招き入れ、閉塞感も打破します。

また、室内の夏の暑い空気も排気できる利点もありました。

 

  

 after:陸屋根          before:元々の屋根

  

after:3階ホール         before:3階ホール

 

水廻りは「Second Base(序)」でご紹介したように、

元々の風の道には思慮しながら1箇所にまとめました。

 

鉄骨階段を掛け替えることは、あきらめて頂きました。

階高と階段の距離は変わりませんし、

構造上、申請上の面からも利口ではないと判断しました。

勾配は変わりませんが、踏み面の素材をカーペット敷から板張りに変え、

踏み面の奥行を深くすることで、以前よりも上がりやすくなりました。

 

また、階段を囲う壁や居室の天井仕上げ等物理的な制約を減らし、

鉄骨の躯体を意匠として見せることで、より開放感が増すようにしました。

 

竣工後訪れると、

「おかげさまで快適です」と笑顔で応えられたお施主様は満足されているご様子で、

検討していた頃と比べるとすっきりした顔たちでした。

 

ご家族の予想を超えた見積をご覧になられて落ち込んだり

もしかしたら、後悔した長い夜を過ごされた頃もあったでしょう。

建築費を抑えるために解体や仕上げの一部を家族でDIYされていた日々を

懐かしく思いだしました。

お施主様からほのかに伝わってくる苦難を乗り越えた達成感、

自分だけの好きをぎゅっと詰め込める部屋を手に入れた満足感、

新しく始まった変化に富んだ楽しい暮らしでの未来への期待感。

 

当初の僕の不安は

ご家族をより良いステージへ導く拠点になる予感へと変わりました。

 

未来の幸せを考えたとき

今いるところをより深く掘ってもいいし

今のところからより広く探してもいい。

答えはご家族の数だけ用意されています。

 

ただ経済性や効率性を追いかけた先に

幸せが必ず待っているとは、言えません。

それらは条件であって、目的ではないからです。

 

大切なのは、

「これが私たちの答えです!」と

胸張って言えるところまで、検討することなのでしょう。

 

 

 

 

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