すみか
すみか
すみか
すみか
すみか
すみか

着工前・玄関

すみか

京都市下京区/京町家リノベーション
設計~現場打ち合わせ期間:8か月

路地奥にある6坪平屋建の京町家をリノベーションしました。

ご家族5人が、長年暮らしていた家でしたが、トイレは長屋の共同便所、お風呂もありませんでした。お子様の成長や暮らしぶりの変化に伴い、お施主様は近隣の借家で暮らされていましたが、お施主様は、ご実家を建て替える計画を発案されました。ご要望は、2階建に建て替え、水廻りを充実させた暮らしでした。私は行政と協議を重ねましたが、計画時期の法律では建替えができず、リフォームを検討するしかないという結論になりました。リフォームの場合、現在、現在の借家と比べると床面積は、半分以下になります。お施主様にとって、本当に工事を行う価値があるのだろうかと私は思いを巡らしました。 打ち合わせの時にプランをお持ちすると、「やっぱり、せまいなぁ、だいぶせまい・・・」とお施主様はおっしゃられました。すると、お施主様のお母さんが「せまくなる、せまくなるというけれど、布団一枚もひけないの?」 と尋ねられると、「布団ぐらいひけるわ」なにを言ってるの?という雰囲気でお施主様が答えると「それやったら、やってほしい」とお母様は、きっぱりおっしゃられました。 3人の子供を育てたこの家へのお母様の思いは、私が想像していたよりもはるかに強く、この一言で、計画実行へむけて私も含めたみんなの気持ちが固まりました。将来のお母さんの介護を考慮し、水廻りは少し広めにスペースを確保しました。居間は、 食べる、寝る、仏壇に手を合わせる、そして時に家族が集まること、シーンごとに室礼を変え、機能を変化させる計画にしました。

私にとっては、「寝る・祈る・食べる・集う」という住まいに必要な要素を明らかにした貴重な経験となりました。