佐野泰彦建築研究所は、住宅・京町家・店舗の設計を手掛ける一級建築士の設計事務所です。
Works 作品
京都市中京区・新築
設計~現場打ち合わせ期間:17か月
京都市中京区の閑静な住宅地で、卓球のできる離れをつくりました。
「家族にとっての憩いの場が欲しいんです。家族で真剣に取り組んでいる卓球が出来て 喫茶店を営まれていたお母さんが、友人と談笑やカラオケが出来たり、時にはご近所の人達を招いて町内の 寄り合いに使ったり・・・、これは、数年来の家族の夢なんです!」ご主人様の熱い話を聞き、引き受けました。
敷地は母屋を通り抜けた先にある70㎡ほどの広さで、東には隣家、南側には中層マンションが境界線ギリギリに建っていましたが、北側は大きな駐車場で開けていました。離れていても母屋との一体感のある離れの〈自然な在り方〉を目指しました。
建物は4.5×9Mの平屋建てで、屋根の形は母屋にならい切妻屋根としました。北側の駐車場越しに見ると、2階建ての三角屋根と平屋建ての三角屋根がリズミカルに並びます。内部を屋根の形にならい勾配天井の家型空間としたのは、外部と内部空間を一致させることによって、母屋では体験できない魅力的な空間が生まれると考えたからです。天井高さは、3.3M~4.4Mでより高さを感じられて開放感が増すように、そして未来に生まれる新たに楽しみをも受け入れられるように、屋根を受ける束や梁は用いない架構とし、シンプルで余白のある空間をつくりました。そして、空間に変化をもたらし、人の気持ちが和らぐやさしい光と風を招き入れる大きな高窓を北面に設けました。
ご家族の〈憩いの場〉のみならず、友人やご近所の方が集う〈広場〉のような場に育ってくれたらと願います。