佐野泰彦建築研究所は、住宅・京町家・店舗の設計を手掛ける一級建築士の設計事務所です。
Works 作品
京都市中京区・京町家リノベーション
設計~現場打ち合わせ期間:18か月
京都市中京区の閑静な住宅地で、京町家のリノベーションを行いました。
お施主様のご要望は「子供たちにそれぞれの部屋を与えたい。そして現在の家族の暮らしぶりに合うように 家を直したい。」とのことでした。 本建物は明治後期に建てられ、生業やご家族構成の変化に合わせて内外装を数回改装しながら、大切に住み続けてこられました。内外装、空間の構成も建築当初とは、大きく異なりました。今までの延長線上に、新しい歴史を積み重ねることも出来ますが、京町家であることや刻まれてきた時間も希薄に感じました。そこで、昭和、平成に行われた改装部分を断捨離し、明治期の部分と令和の部分で、これからの暮らしのために空間を整えることにしました。階段の位置を当初の位置に戻し、明治期の柱や梁も名残りとして空間の端々に登場させ、新しく設けた柱と共に1つの空間を創るということです。古い建物になればなるほど 、材料は貴重だったので、整形していない材木を再利用していることもよくあります。 それらは味わい深い一つの景色をつくりますが、お嬢様のお部屋の柱に一段と歴史を感じました。 大工さんにも「子供さんのお部屋にこれはちょっと・・・ここだけ隠しますか」と尋ねられ、 ご主人様とお嬢様に現場でご説明しました。すると「なんか、かっこいいから、このままでいい!」と 小学生のお嬢様が即断され、たくさんあったほぞ穴を埋木し、予定通り進めました。