佐野泰彦建築研究所は、住宅・京町家・店舗の設計を手掛ける一級建築士の設計事務所です。
Works 作品
京都市北区/新築
設計~現場打ち合わせ期間:13か月
ご夫婦と子供のための住宅である。先祖より住み慣れた市街地を離れ、選定された新天地は交通の便も良い北区にある新興住宅街の1画で、鴨川や植物園にも徒歩圏内の自然環境に恵まれていた。敷地は北側道路に面し、東・西・南側は境界線ギリギリに建つ家屋に囲まれていた。
敷地面積は以前よりも1/3程度、延床面積も半分以下になるが、以前よりも気持ちよく心豊かに暮らせる、未来への希望を感じさせる家を目指した。
私が提案したのは、地上2階地下1階で、地上階は2層分の空間を敷地の北側と南側に配し、2棟を廊下と階段でつなぐ構成とした。階段の東側は中庭を配し、この中庭を中心として諸室を展開し、中庭越しに家族が交歓する伸びやかな広がり感を生み出すことを試みた。1階は夫婦寝室とL・D・K、2階はそれぞれの子供室が中庭を挟んで対峙する。中庭は光や風、自然の恵みを空から招き入れ、住人の各部屋へ季節の移ろいを、時には住人それぞれの気配を風に乗せて告げる。
中庭に面する階段沿いのガラス張りの外壁を7度振り、真東に向けた。それにより階段とガラス壁の間に直角三角形の吹き抜けが生まれた。吹き抜けから地階へ自然光を、真東のガラス壁から地上階の家族に朝日を届ける。
地階から2階へ続く階段を大きな樹の幹に見立て、その枝先に各々のツリーハウスが載るイメージで設計し、『a family tree』と名付けた。