佐野泰彦建築研究所は、住宅・京町家・店舗の設計を手掛ける一級建築士の設計事務所です。
Works 作品
リビング着工前
京都市下京区・リノベーション
設計~現場打ち合わせ期間:14か月
京都市下京区の閑静な住宅地で鉄骨造3階建を改装しました。
1階は事務所として貸し、2階はご両親、3階は、お嬢様ご家族が生活されていました。お施主様は将来を考え、事務所として貸していた1階に生活の基盤を移し、2、3階をお嬢様ご家族にお使い頂く計画でした。要望は、2階で生活していた時の開放感で、これから始まる第二の人生にふさわしい空間を創ることでした。 1階には駐車場がある為、2階より床面積が狭く、確保できる天井高さも限られていました。そこで、開放感を感じるために、行き止りの無い回遊性のある平面計画としました。また、寝室や便所、リビング、玄関等用途に合わせて、天井高をギリギリまで 低く抑える場所を設けて、一般的な天井高さが高く感じる工夫をしました。生活の中心であるLDKが、広さのわりに平坦な空間にならないように、リビングとダイニングスペースの間に丸柱を1本建てました。お施主様からは「邪魔にならない?」と言われましたが、「この柱は空間を緩やかに分ける役割を兼ねるだけでなく、これからの暮らしにおいて、落ち着きもたらします。それはお二人の「心の拠り所」にもなるはずですから。」とお話してご納得頂けました。また、玄関にも、1階のリビングへ向かう親世帯と階段を上がって2階へ行く子世帯の分岐点を示す大黒柱のような角柱を建てました。
竣工して数年後、「この丸い柱、邪魔かなぁって思っていたけど、お父さんがもたれたり、立つときに頼りになって、よかったわぁ」奥様は、笑みを浮かべながらそうおっしゃられました。